TRUMP
「そうだよ。強制したって、買われた石だってパワーなんか発揮するわけないだろ?だから、買いたいお客さんに合う石を提供してるんだよ」


「へぇ〜。今度蘭さんに、みてもらおうかなぁ」


あたしは、ローズクォーツを2袋取り出し、部屋を出た。


「ローズクォーツって、恋愛の石ですよね」


「あぁ」


「……買おっかな」


呟いた時に、蘭さんの視線を感じた。


「あっ!いえ……お店の商品、従業員が買っちゃ、いけない、です、よね?」


「……構わないんじゃないか?」



買っていいんだ。



少し幸せな気分でいたら、今まで開いたのを見たこともないドアが開いた。


【お子様入るべからず】のドアが開いたのだ。



うわっ!



初めて、アダルトショップ購入者と対面!!



うわ〜!



うわ〜!



どんな人が買うの?



さりげなくなら、見ちゃっても、いいかな。



中から出て来た客を見て、目を見開いた。


銀髪の目つきの悪い、ついでに口も悪い海斗さんが、茶色の紙袋を持って、出て来たのである。


「か、か、海斗さんっ!?」


あたしと目が合った海斗さんは、あたしを見て蘭さんを見て、慌てて紙袋を背中に隠した。



アダルトショップから海斗さんが!



海斗さんが!



しかも、紙袋背中に隠したよ!



「最っ低!不潔!!」


あたしは、海斗さんに、言葉をぶつけるとドスドスとお店に戻った。


「馬鹿かお前は、気をつけろと言われてたろ」


蘭は海斗の頭を殴ると、藍の後を追った。



サイテー!


ホントにサイテー!!



見た目通りの奴!



口が悪いから品がないとは思ってたけど、やっぱり!



あたしは、お店に入ると、ローズクォーツを開こうとした。


「藍、まだ開けるな」


蘭さんに言われて、手を止めた。


「今のお前だと、石に陰の気が入る」


「え?」



陰の気?





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