TRUMP
非常階段も兼ねているため、1階から伸びた階段は、2階の倉庫の外へ出れるように出来ていた。


何かあって、表玄関から抜け出せない時は、ここから2階へ行き、そこから、外へ繋がっている非常階段へ走って行くのだ。


2階へ上がり、倉庫の扉を開けた。


「蘭さぁん、オニキス取って下さ〜い。5袋くらい〜」


返事がなかった。


「あれ?蘭さぁん?」



いない?



なんで?



倉庫整理するって言ってたよね。



トイレ?



あたしは、仕方なくオニキスを探すため、倉庫のドア、実際はひとつの部屋を、倉庫変わりにしてるだけなんだけど、ドアを閉めた。


ドアのカードキーは皆が持っていた。


ドアを開けっぱなしにすることは、許されていなかった。


例え少しだろうが、自分が部屋へ入った時点で、鍵を掛けることは義務付けられていた。


オニキスを探しだし、下へ降りようとして、いつもの【お子様入るべからず】が、目に付いた。


めずらしく、ドアが最後まで閉まっていなく、微妙に隙間があいていた。


もちろん、アダルトショップなんて物には、興味がないから覗こうなんて気持ちは起きない。


逆に、こういう場所に来る客の気持ちがわからない。



フンッ!



こういうお店は、さっさと潰れちゃえばいいのよ。


あたしは、貼紙に、べーっと舌を出して、そのまま通り過ぎようとした。


その時、ドアの向こうから、声が聞こえてきた。


「それでは、今回は私とクローバーが動きます。最初の報告は3日後ということで宜しいですか?キング」



え?



智也さんの声?



クローバー?



「わかった。では、明日はラピスラズリには、クイーンとスペードと私が出よう。この件に関してはあまり長引かせたくない。期限は1週間だ。以上」



ひ、響さんの、声に、似てる……。



「ちょっと、クローバー掛け持ちで大丈夫なの?」



涼子さん……?





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