TRUMP
「オレが動かなきゃ、誰が捜査するんですよ。ま、ラピスラズリにいるより退屈しないんでいいですよ。オレ、トランプ一本でもいいっすよ」



……海斗さん?



なに?



ラピスラズリの皆の声が聞こえる。



なんで?



だって、ここ、アダルトショップなんでしょ?



まさか皆で、買い物?



ううん、そんな感じじゃないことくらい、わかる。



なに?



このドアの向こうで、何が起こってるの?



あたしは、恐る恐るドアノブに手をかけようとしたが、握ることができなかった。


「そろそろ戻ろう。藍ちゃん1人で店番じゃ大変だろう」



ドキン!



響さん……。



あたしは慌てて下へ降り、呼吸を整えた。


5分後、響さんと智也さんが、お店に現れた。


「お疲れ様。いつも1人になっちゃってごめんね」


「いえ、大丈夫です」


響さんは、いつものニコニコ顔で話しかけてきた。


あたしは、響さんを見つめた。


「ん?」


響さんが、気づいてくれた。



聞いていいのだろうか。



「どうかした?」


「あの」


「うん?」


「に、に……」


「あ、そうだ。藍ちゃんに、渡す物があったんだ」



渡す物?



「ハイこれ」と。


響さんは、胸ポケットから、色はシルバーで、平らな3cm×5cmくらいの物を取り出した。


そしてそれを私に手渡した。


ひっくり返して見ると、細淵の枠で、それが3cm×5cmなんだけど、その枠の中に、筆記体で”アイ”とシルバーの文字で綴られていた。


「これは?」


「お店のネームバッチだよ。皆持ってる。アイのイの点の所に、穴が空いてるだろ?そこに、自分の守護石を、蘭に入れてもらって」


「守護石って?」


「あぁ、わかりやすくいうと、誕生石と同じだよ。藍ちゃん何月生まれ?」


「私、9月です」


「お、きぐうだね」



え?




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