TRUMP
響さんも!?



「お店の名前と同じだ」


「え?」


「ラピスラズリ。守護石さ」


「なんだ……」


「ん?嫌だったラピスラズリだと」


「あぁ、いえ、違います。そんなんじゃ」


「そ、よかった。僕、石の中でラピスラズリが1番好きなんだ」


「だからお店の名前も?」


「まぁね」


結局、ネームバッチで、うやむやになり、2階の部屋のことが聞けず、その日のバイトが終わってしまった。




次の日、いつもの時刻にアルバイトに向かった。



確か今日は、海斗さんがお店には来ないとかって、昨日言ってたよね。



学校で昨日の会話を整理していた。



あそこの部屋が何なのか、わかんないけど、海斗さんと会わないのはラッキー!



海斗さんは、あたしの顔を見れば仕事押し付けて文句ばかり言ってくるので、会わずにすむなら会いたくなかった。


仕事だからある程度は仕方ないのかもしれないけど、海斗さんの仕事振りを見てると、ズルク思えて、なんか素直に聞けない気持ちになるのである。


上から目線の傲慢な態度で仕事教えられても、反発したくなるし。


負けず嫌いな性格が、そうさせるのかなぁ。


「いらっしゃいませぇ、あ、お疲れ様でぇす」


ラピスラズリに入り、いつも通り、今は込んでる中を掻き分け、奥の休憩室へ入っていった。


いつも荷物を置かせてもらい、上着だけブラウスから、シャツに着替えさせてもらっていた。


あたしが行く時間帯は、いつも休憩室に誰もいない。


その隙に着替えるのだ。


たぶん、着替えやすいように、誰も入って来ないようにしてくれているのだろう。


後は、お店が込んでて、休憩が取れないってのもあるのかもしれないけどね。


なのに。


今日は、いた。


しかも。


いないはずの、人。


銀髪だから、一発でわかる。


「お、お疲れ様です」


あたしは、ぶっきらぼうにならないように、でも愛想はよくなく挨拶をした。


海斗さんからは返事がなかった。




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