TRUMP
「喧嘩なら買いますよ?女だからって言葉嫌いなんで」


と言った。


頭にきていた。


海斗さんの。


”女だから”


って言葉は、あたしの一番嫌いな使われ方だった。


「海斗さん、いい加減に着替えたいんで、時間遅れちゃうんで!」


爆発しそうな衝動をなんとか押さえながら言った。


あたしより頭に血が上っていた海斗さんは。


「うるせぇよ!あぁ!」


と言った拍子に、勢いよく両手を左右に広げた。


「あ……」


海斗さんの目線がある一点で止まっていた。


ボタンが飛び散り、ブラウスを左右に裂かれ、ブラジャー姿をさらけ出していた。


海斗さんの目線はくぎ付けで、ブラウスを掴んだまま固まっていた。



あわわわわわ。



胸を隠そうとしたが、海斗さんの手が邪魔で隠せなかった。


「か、海斗さん、み、見ないで下さい!手!手も!」


「み、見てねぇよ!見るわけねぇだろ!そんな、貧……」


海斗さんは慌てて顔を左に向けて、ブラウスから手を離そうとした時だった。


「藍ちゃん、着替え終わったかな?」


と響さんが入って来た。


あたしと海斗さんが固まった。


「藍ちゃん?海斗も何やって……」


響さんは、近づいて来ると、あたし達の体制に気づき。


一瞬立ち止まった。


響さんの目線がどこを見てるのかがわかった。


「キャーッ!!!」


あたしは、叫び声をあげ、はだけているブラウスを慌てて合わせた。



み、見られた!



ひ、響さんに!!



見られたよぉ〜!!



うえ〜ん!!!



あたしの叫び声に、響さんは我に返ると。


瞳を一瞬にして鋭くすると。


「藍に何をした!」


海斗さんに殴りかかった。


海斗さんは、抵抗せず地面に倒れた。


「おい何してるんだ!フロアーにまで聞こえるだろ!」


中のドタバタが聞こえたのか、智也さんが入って来た。




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