TRUMP
そしてなぜか、あたしの隣に座って、ニコニコとあたしの顔を見つめていた。


あたしの全右側が、その視線に堪えられなくなり、振り向くことも、笑うこともできず、ガッチリ固まってしまった。


「響。面接のじゃまだ、いるなら、店長らしく、こっちに座れ」


前に座っている男性が、あたしのを見つめていた男性に、声をかけた。



え?



今、店長って言った?



聞き間違い?



「ハイハイ」


響と呼ばれた男性は、軽く答えて立ち上がると、わざと右側の空いてるソファーへ座った。


「すみません。では、履歴書拝見します」


「あ、はい!」


何が何だかわからない中あたしは、慌ててカバンから履歴書を取り出した。


「お預かりします。改めて紹介させていただきます。私は、ラピスラズリの副店長をしています、智也と言います。そして、そちらに座ってるのが、店長の響です」


紹介されて、あたしは2人をまじまじと見つめてしまった。



初めて声を掛けてくれた人が、店長ぉぉぉ???



うっそ〜!



ど〜見ても、逆でしょう〜?



普通、落ち着きがあって、喋り方とかも、知的さがある人が、店長とかやってるでしょう?



お店の、1番偉い人だよぉ?



「で、いつから働けますか?」


「え?はい?」



いけない!



面接中だった!



「いつから、ここへ来れるのかと」


「あ、いつでも」


「そうですか。学校終ってからだと、16時過ぎくらいから働けますかね。遅くても、17時くらいまでに入ってもらいたいんですけどね」


「あ、大丈夫です。でも、テスト週間とかは出来たら休みたいんですけど」


「学校行事は、優先してもらって、結構ですよ。時給は1000円です。それでよろしいですか?」


「そんなに、もらえるんですか?」


「他にアルバイトは雇いません。1人で店を見てもらうようになる時間が多々あると思います。それぞれの石の特徴は、おいおい覚えてください」



え?



あの混雑してる店を、あたし1人が、見る、の?



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