TRUMP
「藍!!大丈夫か!」

海斗さんの声が聞こえた。

海斗さんは、ダイブして智也さんを抱え込み転がって、茂みにうまっていた。

それでも智也さんは、目を覚まさなかった。

あたしは男性の衿を掴んでいたが、男性はあたしの手を外すと逃げようとした。

「あっ!待って!」

サンダルだったため走りにくかった。

海斗さんも慌てて男性を捕まえようと走りだした。

そこへ、突然空から響さんが降ってきて、男性の前に降り立つと、ヒュッと一発ミゾオチにパンチをいれ、男性を気絶させた。

「ひ、響さん……」

さっきの声はやっぱり響さんだったんだ。


この人達、いったい……。


「藍ちゃん、大丈夫?怪我してない?」

響さんは、いつものスマイル顔で聞いてきた。

「あ、ハイ。大丈夫です。それより…いったい」

「すいません室長」

海斗さんが、響さんに謝っていた。


室長?


店長じゃなくて?


わけがわからないことだらけだった。


「ジャックは?」

「まだ寝てますよ」

「しょうがないなぁ」

そういうと響さんは、智也さんのところへ行き、背中に手をあて、軽く押した。

「うっ」

智也さんは、少し苦しそうに目が覚めた。

「あ、キング。奴は」


キング?


「あっちでのびてるよ。後は任せた、僕はラピスラズリにいるから」

「はい」

そういうと、響さんは、歩きはじめた。

あたしは、どうすればいいのかわからず、足が動かなかった。

少し歩いて響さんが、振り向いた。

「藍ちゃん、どこへ行くつもりだったの?」

「ラピス、ラズリです……」

「おいで、乗せてってあげるよ」

といって手を差し出した。

あたしは、その手に引き寄せられるように、響さんの手を掴んだ。

響さんにエスコートされて助手席に座ると、車は発進した。

「驚いた?」

「あ、いえ、はい」

何を言ってるのか、よくわかっていなかった。

「海斗が機転が利かなくて悪かったね」

「いえ!そんな、めっそうもないですっ!」

「それに、智也は喧嘩とかからっきしダメで」



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