TRUMP
それは、やられた時に、何となくわかりました……。


「……」

「……」

何を話せばいいのかわからなく、車内を沈黙が包んだ。

「着いたよ」

車で送ってもらったため、すぐに着いてしまった。

「ありがとうございます」

あたしは、車から降りると、響さんに挨拶をして、ラピスラズリに向かおうとした。

聞きたい事はある。

でも、少し怖い。

パワーストーンを売ってる従業員が、陰で人を何かしようとしていたのだ。

響さんに至っては、確実に男性をしとめていたし。

ラピスラズリで働いて、一ヶ月近くになるけど、あたしの知らない顔をもってるのだ。

ラピスラズリで見せる顔は、偽りの顔なのかもしれない。

それに、ラピスラズリの時は、お互い名前で呼んでるのに、さっきは違った。

ジャックとかキングとか。

まるで、トランプの名前だよ。


この人達と関わってていいのかな。


あの3人だけが何かやってるのかな……。


ラピスラズリの皆だったら……?


もし、もし何かの犯罪グループだったら?


ラピスラズリは仮の姿で、ホントは何か犯罪グループって。


そういう映画とか、よくあるよね。


あたしは、響さんに背を向け、立ち止まったまま動けなかった。


「藍ちゃん」

進まないあたしに、響さんが声を掛けてきた。


ゴクッ!


生唾を飲み込むと、ゆっくり振り向いた。

響さんを見ると、少し悲しそうな顔をしていた。


……やっぱり。


やっぱり、よくない事してるんだ。


「藍ちゃんが聞きたければ話すよ。藍ちゃんが知りたいこと全部。君には嘘をつきたくないんだ」

そういってビルの階段を上っていった。


2階?


お客さんがいるから、倉庫で話すのか。


あたしは、響さんの後を追うように、外ビルの階段を上がった。

2階に上がり、左側の倉庫の部屋へ行こうとした。

「藍ちゃん、こっちだよ」

響さんが勧めたドアは、あたしが気になっていた右側の部屋だった。

響さんはドアを開け、あたしを見つめていた。

アダルトショップだと言われた部屋である。



< 34 / 41 >

この作品をシェア

pagetop