TRUMP
「え?あんなに大きいのに?」


「うん」


「ディスプレイしてるのに?」


「うん。だから、金額がついてないだろ?」


「えぇ〜?」


「藍ちゃん、石が大きいからってパワーがあるとは限らないんだよ。もちろん、パワーのもってる石なら強力だけど、だからといって、大きいからってそれが、その人の取り巻く気流に合うか、また別なんだよ。それを見抜くのが蘭なんだ。実際助かってるよ、蘭の能力は、あ、でも、お客さんには内緒ね」


と響さんは蘭さんを見たが、蘭さんは何も言わず、違うパワーストーンを見に行ってしまった。


「藍、この石達の在庫なんだが」



ドキン!



突然智也さんに呼ばれた。


智也さんに、呼び捨てにされ、心臓が響いた。


「は、はい!?」


「2階の左側の部屋にあるからな。石の在庫は、ほとんどその部屋にあると思ってくれ」


「わかりました」


「あら?」


女の人の声が聞こえた。


フワフワした巻き毛の女性が、奥の部屋から入って来た。



き、綺麗〜。



「涼子だよ。こいつもラピスラズリの店員だ」



さっき、レジ打ってた人だ。



「は、初めてまして。藍です。よろしくお願いします」


「涼子です。暇なお店だけど、頑張ってね」



暇?



さっきも、そんなこと言われた。



あんなに込んでて、暇ってことはないよね。



確かに今は、お客さんいないけどさぁ。



「ありがとう、ございます」


涼子さんの言葉の意味がわからないまま、あたしは返事をした。


こうしてあたしは、ラピスラズリの扉を開いたのだった。







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