偽りの仮面 真実の愛


たとえ目が見えなくても、マトに不自由な思いは決してさせない――。



そんなリネット強い意志と努力のかいあって、今では家の中はもちろん、村の中もある程度ひとりで歩き回れるようになった。



「ありがとう、マト」



そう言いながら、リネットはマトのふわふわした髪を優しく撫でた。



姉に頭を撫でられるという事を恥ずかしく感じたのか、マトはその手をぱっと払いのけると先程まで火のついていた鍋の蓋をあけスープを盛りはじめた。



「そんな事はいいからっ、早くご飯にしよ!!」



僅かに赤く染まった頬を、見えるはずのないリネットから隠すような仕草を見せるマト。



そんな弟の姿に、リネットは再び優しく微笑んだのだった。

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