偽りの仮面 真実の愛
――――――
「ところで、さっきの話なんだけど…」
「さっきの話?」
姉の作った温かいパンを口いっぱいにほおばったマトが、その視線をリネットに送る。
リネットはというと、目が見えないとは思えないほどスムーズにスープを口に運んでいる。
「そう。城の化け物がどうのっていう…」
「そうだ!!…っ、ゴホッ」
【化け物】という単語を聞いて、マトは急に何か思い出したのか思わず口にしていたパンを詰まらせる。
「マト!!大丈夫?落ち着いて」
未だゴホゴホと咳き込むマトに水を持ってくると、リネットはその小さな背中を優しくさすった。
「そうだよ。村の端っこにあるお城には――、化け物が住んでるんだって」