偽りの仮面 真実の愛


――――――


あの日以来、マトが城の化け物の話をすることはなかった。



初めは少しだけ心配していたリネットだったが、次第にその心配は薄れ、終いには完全に頭の中から消えていた。



そんなある日――。



「お姉ちゃん」



いつものように目覚めたマトは、その足で真っ直ぐリネットの元へとやってきた。



「何?ちょっと今手が離せないから…」



そう言うリネットの手元では、朝食であろうスープがおいしそうにクツクツと沸騰している。


< 30 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop