い ち ご み る く
森山憐はあたしの手を
引っ張ったまま
一言もしゃべらない。
「・・・・・・・・・・・・・・ありがと。」
「あ゛?」
「助けてくれてありがと。」
「別に良いけどよ
助けたお礼しろよ。」
この男はほんとに
お礼お礼言ってばっかだな。
って思った。
まぁ助けてもらったんだし
「分かったよ。」
一応、了承しといた。
そう言うと
森山憐は振り返ってあたしの顔を
まじまじと見始めた。
「・・・・・・・・・・・何?」
「・・・・・・・・・・・・・・て」
「ん?何?」
「目ぇ瞑って」
「な、何で?」
「・・・・・・・・・まつげ付いてんだよ。
だから瞑れ。」
「・・・・・変なこと、しないでよ。」
「しねぇよ」
本当にしないのかよ。
あたしは静かに目を瞑った。
アイツの手があたしの頬に触れた。
あたしの頬は一気に熱をもった。
そしてアイツの手が
離れたかと思うと
唇に何かが当たった。
何これ・・・・・・?
あたしがそぉっと目を開けると
アイツの顔が目の前にあった。