ひまわり~秘密の愛言葉~

教室に戻ると、
誰もいなかった。

自分の荷物を持って、
急いで 教室を出る。

泣きながら、ただ走り続けて、校門を飛び出して家に向かった。


あんなに―…
壊したくないと思っていた、
居心地の良かったあの関係を。

私は、自らの手で
壊してしまったんだ―……。


幸いにも、今日は金曜日。

土日は、学校に行かなくて済む。

だけど、月曜日からは、
もう 先生とは 今までのままじゃいられないんだ。


せっかく 仲良くなれたのに。



想いを伝えられたことは
確かに心が軽くなった。

ずっと心の奥に
気持ちを押し込んで
ひた隠しにするのは 苦しかったから。


でも。
それでも、後悔してる自分がいる。


今井さんの行動に、
焦りを覚えたのかな。


どうして、あのタイミングで
好きだなんて―…。


涙が止まらなかった。


どうして実らないの?
先生と生徒じゃ…恋愛なんてムリなの?

私がどんなに想っても、
この恋が叶うことはないのかな?

こんなにも、好きなのに。
どうして 先生なんて好きになっちゃったんだろう。


自分を責め、
先生と生徒という関係を責めた。


いつの間にか、
家の目の前まで来ていた。


涙を拭って、
平然を装って 家の中へと入る。


「ただいま。」

やっと声を絞り出して
それだけ言うと、

急いで自分の部屋に行った。



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