ひまわり~秘密の愛言葉~

結局、仲良くなるチャンスなんて見つからないまま、1週間が過ぎようとしていた。


やっぱ無理なのかなって
しょげながらも、

毎回楽しみにしている
数学の準備を始めた。



始業のチャイムが鳴る。

いつものように、
先生は少し遅れて来た。


「はい、じゃあ始めまーす。」

めんどくさそうに
教科書を開いて、文字式をズラズラと黒板に並べる。


「ハイ、じゃ、この3問解いてねー。」


そう言って、先生は問題を解く時間を与えた。


先生はいつもこうなんだ。


適当なのか
めんどくさがりなのか、
いやまぁどっちもだろうけど、

問題を解かせる時間を無駄に多く取って、その間自分は大いに休んでる。


そんなに時間取る必要ないぐらいの難しさと問題数なのにね。

でも、私はみんなに問題を解かせてる間の先生を見るのが好きなんだ。


1番前の列の子のノートを覗き込んだり、窓から外を眺めたり、大きく伸びをしたり。

この時の先生が
1番自然な姿なのかなって思うんだ。


窓から入り込む風で、先生の
真っすぐな黒髪がなびく。


その様子が何だか
色っぽくて、またドキッとする私の心臓。


ほとんどの生徒が
問題を解き終えて眠りに入っていても、

先生はまだ
授業を再開しない。


そんな風に、全然慌てないのんびり屋なとこも大好きだけどね。


< 9 / 61 >

この作品をシェア

pagetop