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第2話 一人ぼっち
夏休みを目前にしての今日は休日。
学校も無い日だから遅めに起床した。
『おはよー…、っていないし』
部屋のドアを開けると、目の前のリビングには誰もいなかった。
その代わり、テーブルの上に一枚の紙切れが残されていた。
『俺は友達と遊びで、楓は夜まで塾に行って来る。夕飯は適当に食ってくるから、じゃーな。灰希&楓』
って事は、今日の夜は一人ぼっちって事か。
楓が朝から塾行くとか前は無かったのに、やっぱり受験を控えてるからかな。
『ま、いっか今日は美奈と遊ぶし』
紙をテーブルに置き戻して遊びの支度をし始めた。
そういえば、家で一人になるとか初めてかも…。
「ふーん、じゃあ今日は一人なんだ」
『そうなの。二人とも遅くなるみたいでさ』
ショッピングモールの中にある喫茶店で、美奈に今日の夜の事を話した。
少し飲んでからカップを受け皿に置いた。
「楓先輩はもう受験生だもんね。それに比べて灰希ときたら、少しは楓先輩を見習えっての!」
『確かに、それは言えてるね』
呆れ顔で言う美奈を見て笑った。