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そんな私達は中学校が一緒だからいつも三人で登校している。
友達の美奈(みな)には「兄妹で仲良く登校なんてあんたらぐらいだよ」なんて珍しがられた。


「あ、七瀬(ななせ)くんだよ!」

「かっこいいよね~!」

「七瀬兄弟だ」


登校中も同じ学校の人にキャーキャー言われる騒ぎ。
でも、楓は文庫本を読んでいて、灰希はウォークマンで音楽を聴いていて、女の子達の話しなんか聞いてもいない。


「てか、いつもいつも妹邪魔だよねー」

「ブラコンなんじゃない?」


私を見て陰口を叩く女の子も何人かいた。
いつも言われ慣れてる事だけど、内心結構傷ついている。


「結衣」

『ん?』


俯いていた顔を上げると、灰希が右側に付けていたイヤホンを私に渡した。


「耳に付けてろ」

『うん』


イヤホンを左耳につけると、灰希がウォークマンを操作して音楽を流した。
流れてきたのは私の大好きなアーティストの曲。
隣にいる灰希をちらっと見ると、私を見て軽く笑った。

悪口を聞かないようにしてくれたのかな?

いつも意地悪をしてきても、いつも肝心な時は優しい灰希。


『ありがと』

「どういたしまして」


お礼を言うと灰希は口元を二ッと上げて軽く笑った。



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