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校舎内に入り下駄箱を前にして楓は今まで読んでいた本を閉じた。
「じゃ、テスト頑張ってね」
『うん!バイバーイ!』
「じゃーな」
三年の楓とは下駄箱の前で別れて、同じクラスの私と灰希は上履きに履き替え教室に向かった。
「はぁー、テストで点数悪かったら居残りなんだよなー」
『いつも真面目に勉強しない灰希が悪いんだよ?もうすぐ三年になるし、高校受験だってあるんだから今の内に復習しといた方がいいよ?』
「受験とかしんどいなぁ」
面倒くさそうにそう言って溜め息をついた。
そういえば、楓から高校どこ行くか何も聞いてないけど、もうどこに行くとか決まってるのかな?
その事を隣に灰希に聞こうと口を開いた瞬間、廊下を走る足音が耳に入った。
「ゆーいー!」
『美奈ー!おはよー!』
目の前から走って抱きついて来た美奈を上手く受け止めて抱き締めた。
「お前ら毎日よく抱きつくな…。やっぱりレズなんじゃ…、っいてぇ!!」
私から離れた美奈が素早く灰希の足を思いっ切り蹴った。
痛そうに蹴られた足を抑えてしゃがみ込んだ灰希。