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昼休みになると灰希は友達と校庭でサッカーをする為教室から出て行った。
クラスの女子達は教室の窓から灰希の姿を鑑賞する。
これもいつもの光景で慣れてしまった。
「相変わらずの人気よね」
『ほんと、どこがいいのかわらないよ』
美奈と机を向かい合わせにくっつけて、私は窓に並ぶ女の子を見て溜め息をついた。
「でも自慢じゃない?お兄ちゃんがイケメンって?」
『イケメンって噂される度に私は叩かれてるけどね』
今日の朝の事を思い出して気分が沈んだ。
毎日あれだと気が滅入ってしまいそう。
「でもさ、二人とは血が繋がってないんでしょ?」
みんなに聞こえないように小声で話した美奈。
この事は美奈以外知らない事。バレたらきっと私はもっと叩かれると思って秘密にしている。
「一緒にいて好きになったりとかしない?」
『ないない。小さい頃からずっと兄妹してるんだし、異性としてなんか見れないよ』
ずっと一緒に生きてきたからこそ恋愛対象なんかに見れない。
血の繋がりはなくとも本当の兄妹みたいだから。
「ま、結衣はね」
『え?』
「ううん。何でもない」
美奈の言葉を聞き逃してしまったが、美奈は笑顔で首を横に振った。
だから私は気にも止めず、それ以上の事は聞かなかった。