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「そうだ!駅前に出来たアイスクリーム屋さん行かない?メッチャ美味しいって評判だよ!」
『ほんと!?じゃあ行こうかな!』
寄り道する場所を美奈と決めていると、昼休みが終わりだという合図の鐘が学校中に流れた。
「先生来ちゃうから、また後でね」
『うん』
使っていた机を元の位置に戻すと、廊下側の私とは反対に、窓際の美奈は自分の席に帰って行った。
「あっちーっ!」
一番後ろの私は横の開いたドアを見た。
汗でくっつくYシャツをパタパタと仰いでいる灰希とその友達の山田(やまだ)くん。
入り口で山田くんと別れると、灰希は私の隣にドカッと座った。
そう、私と灰希はつい最近行った席替えで奇跡的に隣同士になった。
あの時はクラスのみんなに羨ましいって目で見られたのが今でも鮮明に記憶している。
『汗かくの分かってるんだから、着替えとか持ってきなよ』
「いいんだよ。自然乾燥させるから」
『汚ーい』
別に臭くはないけど、ワザと鼻をつまんでパタパタと手をうちわ代わりに扇いでみせた。
「んだと…っ」
頭にきた灰希は片方の眉をピクピクと動かしたが、そんな灰希をシカトして私は教室に入って来た理科担当の先生に耳を傾けた。
「では、今から小テストを行います!」
その一言をきっかけに、灰希が最も恐れていた小テストが始まってしまった。