幼なじみは俺様王子。
――ギィッ
扉の開く音がした。
あたしは、誰が来たのか大体の予想はついていた。
「川島サン?」
振り返った先には、
はちみつ色の長い髪を揺らしながら、ニコッと微笑む愛チャンの姿があった。
「……なに?」
あたしが素っ気ない態度で冷たく言い放すと、愛チャンはいきなり意地悪な顔に変わってあたしに言った。
「負け惜しみ?」
「なっ………!」
もちろん、図星だったあたしは何も言い返すことがなくって。
「負け惜しみされても困るなぁ。だって楓クンは最初からアンタとなんて、ただのお遊びだったんだから」
悔しいけど、愛チャンの言ってることを“そんなの嘘”と否定出来るあたしはいない。
あたし自身も、もしかしたらって疑っちゃったから……。
「あたしがちょっと口説けば男なんて、みんなイチコロなんだよ?」
それは、まるでドラマに出てくるセリフのようで。
でも、きっとその言葉は正しい。
だって現に、楓はあんな風に愛チャンを抱き締めたのだから……。