幼なじみは俺様王子。




「は、早川……クン」


途端に愛チャンは顔を歪ませて、気まずそうに俯いてしまった。


……は、早川クン?


「あ、あのっ、あたしは……」


「こんな可愛い子イジメるなんて俺、許さねぇよ?」


愛チャンの言葉を遮った男の人の一言。


その口調はどこか彼に似ていて……。


あたしは切ない気持ちでいっぱいになった。


「ご、ごめんなさいっ」


愛チャンは男の人に頭を下げて、焦った様子で屋上から出て行った。


はぁああああ……


愛チャンが去って、力が抜けたあたしはその場にヘナヘナと座り込んだ。


「大丈夫……じゃねぇか」


男の人はあたしの正面にしゃがみ込んで、顔を覗き込む。


「何があったかは知んねぇけど、元気だせよ」


不意に、顔を上げたあたし。


「えっ……」


……な、なんか超美形なんですけど。


この人の顔を見たら、違う意味で落ち込んでいた気持ちが飛んでいった。

生でアイドルを見た時のような感覚に近い。


その顔はまるで、王子様を思わせるかのような顔立ち。


楓と並ぶくらいカッコいい。





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