幼なじみは俺様王子。
シャワーを浴びたあたしは勢いよくソファーに倒れ込んだ。
「ふぅ……」
髪を拭きながら、今日の出来事を思い返す。
“忠告ですよ?”
愛チャンに言われた言葉があたしの頭を横切った。
愛チャンは意味深なこと言うし、雨でびしょ濡れになるし……。
最悪の1日だった。
重いため息をついてソファーから立ち上がると、
ブーブーブー
テーブルの上にあった携帯が鳴った。
……ん?
こんな時間に誰だろう。
不思議に思いながらも、あたしは通話ボタンを押した。
誰からの電話なのかも確認せずに……。
「はい。もしもし」
きっと爽だろう。
自然とそう思った。
でも、その予想はまんまと外れたんだ……。
「……穂香」
この声……爽とは違う。
低くて、優しい声。
あたしがずっと待ち焦がれていた声。
「……か、えで…?」
う、嘘……。
どうして楓が……?
伝えたいことが沢山ありすぎて、言葉に出来なかった。