幼なじみは俺様王子。
――こんな余裕のない楓初めて見た。
いつもとは、違う。
「ねぇ、楓。何があったの?」
あたしが楓から身体を離して、顔を覗き込むと楓は申し訳なさそうに目を伏せた。
「いきなり現れたアイツに驚いてさ……」
……アイツ?
アイツって愛チャンのこと?
「そんで……」
「ちょっ、ちょっと待ったっ!」
あたしは楓の言葉を遮った。
「なんだよ?」
楓は眉をひそめて、怪訝そうにあたしを見つめる。
「アイツって愛チャンのこと!?」
「……あぁ」
「楓と愛チャンはどういう関係なの?」
そう、まずはそこから知らなきゃ。
すると楓は目を見開いて驚いた顔をした。
「……はぁ? お前、覚えてねぇの?」
「そっからか」と呟く楓。
「お、覚えてねぇのって言われても……」
あたし、愛チャンに会ったのは、理科室に行く時が初めてなはずだけど……。
「俺らが小さい頃、よく邪魔してきた女が居たじゃねぇか」
邪魔してきた女……?