幼なじみは俺様王子。




10年前の記憶を鮮明に蘇らせる。


うーんと……


邪魔してきた女の子なんていたっけ。


腕組みしながら目を閉じて考えるあたし。


…………あっ!


お、思い出したっ!


短い黒髪を前髪だけちょこんと縛ってた小柄な女の子……。


――『楓クンはあたしのっ!』


……なんて言って、いつもあたしにライバル心を燃やしてた女の子だ。


その子の名前は……


「……あっ! 思い出したよ!」


確か、“愛”だった。


でも、あんなに可愛いかった子が、あそこまで残酷な女の子になるなんて……。


世も末だ。


「まぁ、思い出したところで……」


楓は淡々と話始めた。









「……だってわけ」


「なるほど……」


楓の話をまとめるとこうだ。


まぁ、これはあたしも覚えてることなんだけど。


小さい頃から愛チャンは陰険な悪戯をよくしてきた。


……しかも、あたしにばっかり。


おままごとセットの中にカエルを入れたり……


あたしのお気に入りだった、クマさんのぬいぐるみをボロボロにしたり……





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