幼なじみは俺様王子。
……ん?
待てよ。
楓は愛チャン騙すために、あたしを突き放したと。
それで盗聴器をつけるために愛チャンを抱き締めたって
楓は言ってた。
……じゃあ、お昼の時、愛チャンと一緒にいたのは?
愛チャンを抱き締めた時あんなに嬉しそうな顔をしたのはどうして……?
「ねぇ、楓……」
怖いけど知りたい。
だってあたしは楓の……彼女だから。
知りたいと思うのは当然だよね……?
「……知りたい?」
「へっ?」
「お前の思ってること」
楓は人差し指を唇にあてて、あたしにウインクした。
ど、どうしてあたしの思ってることが分かるの……?
やっぱり楓はエスパーだ。
「お昼の時、桜田に呼び出されたんだ」
……愛チャンに呼び出された?
「“もう川島サンのところに行ったりしないでね?”って」
えっ……。
「“もし、楓クンが川島サンのところに行ったりしたら……”」
行ったりしたら……?