幼なじみは俺様王子。
はちみつ色の髪を揺らしながら、愛チャンが教室を覗いていた。
……ゲッ。
やっぱり楓目当てなのかなぁ……。
まぁ、そんなすぐには諦められないよね。
キョロキョロしている、愛チャンをずっと見ていると
――パチッ
……目が合ってしまった。
……最悪のパターン。
今度は何を言われるんだろうか……
ドキドキしながらも、愛チャンから目を逸らすことは出来なかった。
すると、愛チャンは「あっ」と声を上げた。
そして、笑顔で誰かに手を振っている。
誰に手を振ってるんだろう……。
楓はいないのに。
楓は瀬川クンと一緒に食堂に行ってるみたいで、あたしの隣は空席。
……と、言うことは。
「川島サン~」
愛チャンの甘ったるい声があたしの名前を呼んだ。
げ、ゲゲゲゲッ。
な、なんで……
なんであたしをそこで呼ぶのよぉおおおお!
おいで、と言わんばかりに笑顔で手招きしてある愛チャン。
はぁああああ。
こりゃ、行くしかないか。