幼なじみは俺様王子。
不信に思いながらも、あーちゃんの「何かあったら呼ぶのよ!」と言う力強い言葉に見送られて、あたしは愛チャンの元へ駆け寄った。
「川島サン、いきなりごめんなさぁい」
困ったような顔をして、あたしを見つめる愛チャンは悔しいけど……
やっぱり、可愛いっ!
「な、何か用?」
「ちょっといいですかぁ?」
そう言われて、あたしは愛チャンの後について行った。
「……で、何?」
連れてこられたのは、人気のない資料室。
あの時の記憶が蘇ってくる。
――『アンタみたいな凡人は楓クンとは不釣り合いなのよっ!』
そう言って打たれた時のこと。
“何か用?”なんて強がっていても、内心は怖くて胸がちぎれそうだった。
資料室に入るなり、愛チャンは頭を深く下げた。
えっ……?
「川島サン! 今まで本当にごめんなさいっ!」
謝るその体はビクビクと震えていた。
愛チャン……