幼なじみは俺様王子。
「あたし、あんなひどいことして……なんにもならないってわかってたのにっ……!」
愛チャンは卑劣で残酷な子だと思っていたけれど、
必死に頭を下げるその姿は、とても嘘をついているようには見えなかった。
「もういいよ……頭上げて?」
あたしがそう言うと、愛チャンはゆっくりと頭を上げた。
「あたしの全て……お話しします」
そして愛チャンは、過去を蘇らせるかのように淡々と話始めた。
「そう……始まりは確か、中2の時でした」
―――――………………
「ふざけんなっ!」
ドンッと大きな音がリビングで響いた。
それと同時に、お母さんの泣きわめく声が聞こえる。
あぁ…またか。
そう、お母さんは毎晩お父さんに暴力をふられている。
殴ったり、蹴ったりはもちろんのこと。
ひどい時には包丁を押し付けられて、脅される時もあった。
毎晩、鈍い音と泣きわめく声が聞こえる。
あたしはそんな家族に、嫌気がさしていた。
もう、家になんて帰りたくなかった。