幼なじみは俺様王子。
でも返ってくる返事は、わかっていた。
「……悪りぃ」
そう言ってあたしの体を離す楓クン。
「楓クン、どうしてダメなの……?」
あたしは思い切って聞いてみた。
女の子からの告白を断り続けるのには、何か理由がある気がする。
そう思った。
すると楓クンは頬を少し赤らめて、ボソッと呟く。
「……好きなヤツがいるんだ」
えっ……
好きな、ヤツ?
「……そいつじゃないとダメなんだ」
楓クン……
楓クンも恋してたんだ。
でも、性格の悪いあたしは楓クンの好きな女がムカついてムカついてたまらなくて。
きっと、小さい頃から楓クンと遊んでいた女だ……。
なんとなく検討はついていた。
それから、楓クンの後を追って楓クンと同じ学校に転校した。
10年ぶりにきた街は懐かしくて。
10年経っても変わらない街並みに胸が熱くなった。