幼なじみは俺様王子。




でも楓クンは普通の男とは違って、手強かった。


しかも、逆に盗聴器まで付けられていたとは、この時はまだ知らなかった。


もう、楓クンを好きなんて気持ちはみじんもない。


ただ、楓クンとその女を地獄に落としたかっただけ。


楓クンにあたしを振ったことを後悔させて

彼女の心をズッタズタに傷つける。


それだけが目的。

……だと自分に言い聞かせてた。


だけど、実際は違った。


本当は、楓クンが好きだったんだ。


愛してもいない男に抱かれてる時に思った。


あぁ、これが楓クンだったらどんなに幸せだろう……って。


だからあたしは、余計に止まらなかった。


彼女に嫌がらせをして、

楓クンは見事に彼女を突き放した。


……あたしの思い通り。


そう思ったのが間違いだったんだ。


ある日の昼休み、あたしは楓クンを屋上に呼び出した。


楓クンの気持ちを確かめるために。


もう、あの女のところに行ったりしないでって。


もし行ったら、どうするかわからないって。




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