幼なじみは俺様王子。
「うーん」と、腕を組ながら考えるあたし。
「思い出せない……」
すると楓は驚いたように目を見開いてあたしの顔を覗き込んだ。
「お前の頭は一体どうなってんだよ」
ですよね……。
(泣)
「こないだ先生が話してたじゃねぇか」
そういえば、旅行がどうのこうのって話してたような……。
「……そんなような気もしてきた」
「お前はどこまで脳天気なヤツなんだよ」
楓は呆れ顔で、「はぁ…」と短いため息をつく。
「来月、2泊3日で旅行に行くんだよ」
頬をポリポリ掻きながら話す楓。
「ほー」
確かに、そんなこと言ってたような気がする。うん。
「あのなぁ……人が話してんのに、ほーはねぇだろ」
本日、2度目のため息。
なんか最近、楓が頼もしく感じる。
あたしだけかな?
「ごめんごめん、……それで?」
そんなことを思いながらも、あたしは両手を合わせて謝った。