幼なじみは俺様王子。
そう言って、人差し指であたしの頬を触った。
「ほら」
あ……、チョコレート。
その正体は、お昼に食べたチョココルネのチョコレートだった。
あ、あたしってなんて冴えない女なのよぉおおおおっ!
あぁ…穴があったら入りたい。
かぁあああああ、と赤らむ頬をおさえていると、楓はフッと鼻で笑って
「お前ってどこまでも冴えないヤツだな?」
そう言った。
……恥ずかしすぎる。
「でもお前のそういうとこ、好きだよ?」
あたしの頭を優しく撫でながら微笑んだ。
な、なな、なんて甘味なことをっ。
そんな不意打ち、反則だよぉ……
「穂香」
楓があたしの名前を呼んだ。
いつもじゃ“お前”なのに、こんな時だけ楓は、あたしのことを“穂香”って呼ぶ。
楓はあたしを知ってて、わざとそうしてるんだ。
そんな楓を、時にズルいと思う。
「口開けろよ?」
……く、口?
どうして口なんか……
早く、と目であたしを煽る。