幼なじみは俺様王子。




「小さい頃から、よく食べてたからな?」


「心読まないで……」


確かに、あたしは小さい頃からチョコレートが大好きだった。


でも、10年経った今でもそんなこと覚えてるのかな、普通。


楓は……本当に人間なんだろうか。


本気で疑うよ……。


「お味は?」


「えっ?」


お、お味って……

チョコレートのこと?


それとも…キスのこと?


「すご、く甘かった……」


とにかく、チョコレートもキスも甘かった。


それは、事実。


「お前は、可愛いな?」


「な、なななな……」


楓はチョコレートみたい。


いつも、あたしを甘く痺れさせて。


ドキドキさせて。


最後には甘い余韻を残したまま溶けていく……。


そして、時にはビターチョコレートみたいに苦くって。


そんな……恋の味。


あたしの恋の味はきっとチョコレート味。


楓は、チョコレート。


……あたしの大好きなチョコレートなんだ。




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