幼なじみは俺様王子。
まるで、
チョコレートで出来た王子様みたい。
「旅行の時、お前のこと襲いに行くから」
「えっ…あ、うん」
チョコレートのことを考えていたから、いきなりの言葉に驚いた。
咄嗟に頷いたあたしを見て、楓は意地悪な笑みを浮かべた。
「ずいぶんと素直だな?」
「はっ、へ? ……な、なにが?」
あたし今、なんて言ったっけ……。
襲いに行くって言われて……
……ん? 襲いに、行く?
「あぁあああああっ!」
思わず素直に頷いちゃったんだ。
あたしってば、何してんのよぉおおおお!
バカバカ、大バカッ!
そんな素直に頷いたら、楓が本気になっちゃうじゃないっ!
「じゃ、楽しみにしてろよ?」
「は、はぁ!?」
……た、楽しみになんて出来ますか。
「あ、あのっ、それは……っ!」
ピーンポーンパーンポーン
無情にも昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴って、撤回出来なかった。
トホホ……
「じゃ、またな?」
楓はあたしの頭をポンポンと優しく叩くと、視聴覚室から出て行った。
「はぁ……」
楓に撤回出来なかったことに、ため息を吐く。
だけど、心のどこかで、期待してるあたしがいた。