幼なじみは俺様王子。




山登りだけど、なんだかワクワクする。


『襲いに行くから』


楓がさっき言ってた言葉、本気なのかなぁ……。


高鳴る胸の鼓動をおさえながら、あたしは楓を思い出していた。


「こんなとこで何やってんだ?」


突然、後ろから声をかけられた。


……へっ?

だ、だだだ、誰?


「おい、穂香」


「うっぎぁあああっ!」


そこにいたのは……


「おまっ……なんつー声出してんだよ」


黒髪を掻きわける爽の姿だった。


「……そ、爽!?」


「よぉ。久しぶりだな?」


「うん。久しぶりだね」


なんだ。あたしに声をかけたのは爽だったんだ。


誰かと思ってびっくりしたよぉ。


相変わらず、楓と並ぶくらいカッコいい……。


「ところでお前、なんでこんなとこにいんだよ?」


「……えっ?」


ま、まさか「楓と一緒にいました」なんて言えないよね……。


楓との関係は秘密ってなってるワケだし……。


だけど、ひとりでいたって言うのも怪しすぎるし……


な、なんて言おう……?




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