幼なじみは俺様王子。
「……お前、どういうつもり?」
楓は爽の背中を見つめながら、そう呟いた。
その言葉は間違いなく、あたしに向けられているもので。
「……な、にが?」
なんて言っていいのかわからずなくて、思わずとぼけた。
……本当は楓が何を言いたいかわかってた。
だけど、わざと知らないふりをしてしまった。
「お前は、心の移り変わりが早いんだな?」
表情一つ変えず、真っ直ぐあたしを見つめる瞳を背けることは出来なかった。
「なっ…! ち、違うよっ、それは……」
「言い訳なんか聞きたくねぇよ」
否定しようとしたあたしの言葉を楓が遮った。
「楓……」
楓はあたしの話を聞こうともせず、背中を向けてバスに向かって歩きだした。
どうして……
どうして、こんなことになっちゃうの…?
楓は今、なにを思ってるの……?
複雑な気持ちを抱えながらあたしは楓の背中をずっと見つめていた。
「穂香…さっき、何かあった?」
今はバスの中。
隣に座るあーちゃんが、心配そうにあたしの顔を覗き込む。