幼なじみは俺様王子。




あーちゃんに余計な心配はかけたくない。


あたしは無理に笑顔を作った。


「何でもないよ! 大丈夫!」


“大丈夫”

その言葉と無理に作った笑顔は、自分に言い聞かせてたんだと思う。


「そう? ならいいけど……」


きっと、あーちゃんはあたしのことをわかってる。


「何かあったら言ってね?」


だけど、それを根掘り葉掘り聞かないのがあーちゃんの優しさ。


あたしはその優しさに甘えることにした。


ごめんね…あーちゃん。


あーちゃんの笑顔を見ながら、心の中でそう呟いた。








「これから、各部屋で休憩だ。1時間後、またホールに集まるように」


――2時間後。


私達は、山奥の中にあるホテルに着いた。


大きなホールの窓からは、緑豊かな木々が顔を覗かせている。


先生のその言葉を合図に、みんなが一斉に動き出した。


「あたし達も行こっか?」


あーちゃんとあたしは、もちろん同じ部屋。


あたし達は部屋へ向かうため、エレベーターに乗り込もうとした。


……と、その時だった。





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