幼なじみは俺様王子。




「……でも、さっき言ったことマジだから」


「……えっ?」


真剣な爽の瞳から目を逸らすことは出来なかった。


さっき言ったことって……


――『俺の女になれよ』


真剣味を帯びた爽の声が、鮮明に蘇ってくる。


冗談だと思ってた。


またあたしをからかってるって。


だけど、爽の表情からは嘘なんて言葉はどこにも見つからなかった。


――背後から足音が聞こえた。


その足音は、確かにこっちへ向かって来ている。


「“さっき言ったこと”って何だよ?」


挑発的な口調と甘い香りで、すぐに誰だかわかった。


「楓……」


ブルーのネクタイを片手で緩めながら、あたし達の元へ近づいてくる。



ドクンッ…


楓が近づいてくるにつれて、あたしの心臓の鼓動はどんどん早くなる。


それと同時に爽の表情も険しくなった。


そして…楓の足は、爽の目の前で


――止まった。







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