幼なじみは俺様王子。
「なぁ?」
楓が爽に詰め寄る。
「……楓には関係ねぇよ」
えっ……?
爽……今、楓って呼んだ?
隣にいたあーちゃんも、それを聞いて驚いたみたいで、あたし達は顔を合わせた。
「穂香は俺の女だ」
――ドクンッ。
心臓が暴れだす。
そんなこと言われたら……
あたし、舞い上がっちゃうよ……。
「へぇ、ずいぶんと調子いいんだな?」
「何の話だ」
あたし達しかいないホールにふたりの声が響く。
「アイツの気持ちも考えないで……」
アイツの気持ち……?
「そんなのはもう過去の話だろ?」
ふたりの言ってることが、あたしには全くわからなかった。
でも、ふたりには何か繋がりがある。
そう……確信した。
「もう、いいだろーが」
「いいわけねぇだろっ!」
面倒くさそうに呟く楓に、爽は怒鳴った。
「アイツがどんな気持ちでお前を……」
「……やめろっ!」
普段、滅多に怒鳴らない楓が取り乱している姿にひどく驚いた。
「全部、俺らの犯した罪だ。それは消えねぇ……」
………罪?
楓は何の話をしているの……?