幼なじみは俺様王子。
「そ、そうなの?」
「当たり前じゃない。目の前にご馳走があるのにオアズケされてる犬の気分?」
オ、オアズケって……。
でも、さすが、あーちゃん。
尊敬しちゃうくらい素晴らしい意見でございます。
「関心してる場合じゃないわよ?」
「えっ?」
「一つ屋根の下で暮らすってことは、何があってもおかしくないってことよ?」
ニヤリと笑うその顔は、どこか誰かさんに似ている。
「“何が”って……」
「そんなの、いくら経験の少ない穂香にだって分かるでしょ?」
わ、分かるけど……
そんな刺激の強いこといくら楓クンでもっ!
「するわよ?男はみんな野獣なんだから」
……そうですよね。
それからあたし達はしばらく世間話をした。
「じゃ、あたしこれからバイトだから。また明日ね!」
あーちゃんはこれから、ファミレスでバイトらしい。
それじゃ、あたしも 家に帰らなきゃ。
……帰りたくないけど。