幼なじみは俺様王子。




「そ、そうなの?」


「当たり前じゃない。目の前にご馳走があるのにオアズケされてる犬の気分?」


オ、オアズケって……。


でも、さすが、あーちゃん。


尊敬しちゃうくらい素晴らしい意見でございます。


「関心してる場合じゃないわよ?」


「えっ?」


「一つ屋根の下で暮らすってことは、何があってもおかしくないってことよ?」


ニヤリと笑うその顔は、どこか誰かさんに似ている。


「“何が”って……」


「そんなの、いくら経験の少ない穂香にだって分かるでしょ?」


わ、分かるけど……


そんな刺激の強いこといくら楓クンでもっ!


「するわよ?男はみんな野獣なんだから」


……そうですよね。


それからあたし達はしばらく世間話をした。


「じゃ、あたしこれからバイトだから。また明日ね!」


あーちゃんはこれから、ファミレスでバイトらしい。


それじゃ、あたしも 家に帰らなきゃ。



……帰りたくないけど。




< 19 / 267 >

この作品をシェア

pagetop