幼なじみは俺様王子。
「というわけ……」
全部話し終えると、あーちゃんは手にしていた紅茶を一気に飲み干した。
今までの瀬川クンだったらきっと、とっくにエッチしてると思う。
だけど、しないってことはそれだけあーちゃんのことを大切に思ってるんだろうなぁ……。
そう思うと、自分のことのように嬉しくなった。
「ところでさ」
あーちゃんは思い立ったように声を上げて、まん丸な瞳であたしを見つめる。
「早川爽が言ってた聞いてもらいたいことってなんだったんだろうね?」
……昨日、ホテルで言ってたこと。
――『お前に聞いてもらいたいことがある』
爽の真剣味を帯びたその言葉があたしの頭の中に蘇る。
きっと楓も関係していると思う。
そしてふたりの言っていた“アイツ”も……
だけど楓は、
――『穂香には関係ない』
って、かたくなに拒否してた。
それにはきっと、なにか理由がある。
「あっ、噂をすれば早川爽よ」
「えっ?」
あたしは、あーちゃんの指差す方に視線を向けた。
そこには……