幼なじみは俺様王子。
◆俺様王子の過去
「楓、お前また告られたのか?」
「うるせぇよ」
――寒さが厳しい11月。
俺と楓は白い息を吐きながら、校門を通る。
「きゃあああああっ!」
「王子ぃいい~」
「爽様ぁあああ」
校門で待ちかまえていた女達が甲高い声を出して俺達を囲む。
自分で言うのもなんだが、俺達は学校の王子様だ。
まぁ、俺も楓も、容姿は抜群だからな(笑)
だけど、楓は誰からの告白も受け入れない。
例えそれが、学年一可愛い女からの告白だって「無理」と冷たく突き放す。
それにはなにか理由があるみたいだけど。
「楓ー! 爽ー!」
俺達を取り囲む女達よりも響く、透き通った声にふたりで同時に振り返った。
俺達のところにかけてくるのは。
藤宮柚月(ふじみや ゆずき)。
長い茶髪をポニーテールで結んでいる。
元気いっぱいで愛嬌のある女。
いつも一生懸命で泣き虫で……。
ドジで天然なところもある。
だけど、俺はそんなアイツに惚れてる。
俺達3人は小学校の頃からの幼なじみで。
俺はずっとアイツが好きだった。
「もお! 置いてかないでよね!」
柚月は口を尖らせて、フンッと頬を膨らませた。