幼なじみは俺様王子。
「うん!ばいばいっ」
無理な笑顔を作ってあーちゃんに手を振った。
はぁ……。
あたしもバイトでも始めようかな……
楓クンとずっと一緒ってそうとう気まずいだろうし。
仕方なく立ち上がって、店から出ようとした時
ブーブーブー
ポケットの中で携帯が鳴った。
……ん? 誰だろう?
ディスプレーを見ると、全く知らない番号。
無視しようと思ったけど電話は一向に止む様子を見せない。
もおぉおおお!
しつこい人っ!
意を決してあたしは電話を出た。
「……は、はい」
「……俺だけど、いつ帰ってくんだよ?」
低い声が電話越しに聞こえる。
こ、この声ってもしかして……
「おい、聞いてんの?」
か、かか…楓クン!?
ど、どど、どうしてあたしの番号知ってるの!?
あたしの頭は楓クンのことになると、よくパニック状態を起こすようだ。
「とにかく、早く帰って来いよ?」
「あっ、ちょ……」
プツ。
プープープー…
無情にも電話は切れました。