幼なじみは俺様王子。
◆揺れる恋ゴコロ
「そんなことがあったんだ……」
顔を合わせるのが気まづくなってしまって、思わず下を向いた。
楓と爽にそんな過去があったなんて……
それに柚月サン。
柚月サンがどれだけ楓のことを愛してたのかわかった。
それと同時に罪悪感が生まれる。
きっとあたしじゃ、柚月サンに勝てない。
見た目はもちろん、楓を思う気持ちだって負けちゃうかもしれない。
柚月サンは、あたしの知らない楓をたくさん知ってるから……。
そんなことを考えていたら、爽があたしの額をデコピンした。
「ちょっと! 痛いよぉ」
手のひらでヒリヒリする額をおさえるあたしを見て、爽はクスッと笑った。
「やっと笑った」
「えっ?」
いきなりなにを言い出すのかと思ったら、爽は首を傾げて優しく微笑んだ。
うっ。
……やっぱり。
爽は楓によく似てると、ずっと思ってた。
ずっと一緒にいたからなのかな。