幼なじみは俺様王子。
……な、なによぉ!
自分からかけてきたくせに!
あたしはイライラしながらも、携帯を鞄にバサッと放り込んで店をあとにした。
――ガチャ
「はぁ……」
家に帰るのがこんなに苦痛になったのは初めてだよぉ……。
………あっ。
ご飯作らなきゃいけないんだよね。
買い出し行かなきゃ。
もちろん楓クンのも作ったほうがいいよね……。
あたし料理なんて出来ないよぉおお。
……お母さん、カムバック。
するとなぜかキッチンから、プーンと美味そうな匂いが漂ってきた。
……ん?
な、なんか匂うんですけど。
気になってキッチンの扉を開けるとカレーを作っている楓クンの姿が見えた。
「穂香、おかえり」
あたしに気づいた楓クンがとびっきりの笑顔で微笑んだ。
――ドキッ
青ストライプのエプロンを身にまとった楓クンに少しドキッとした。
楓クンのエプロン姿……萌えるかも。
あたしは思わず楓クンをじっと見つめてしまった。
そんなあたしを見て楓クンは、意地悪にニヤリと笑って
「なに、見惚れてんの?」
と、あたしの耳元で囁いた。