幼なじみは俺様王子。
恋というのは、本当に不思議だ。
前のあたしだったら、すぐに答えられたのに。
『あたしは楓が好きだから』
って、胸を張って言えたのに。
――『あたし、恋は数学の問題なんかより、よっぽど難しいと思うわ』
露天風呂であーちゃんが言っていた言葉。
本当に、恋はとっても難しい。
答えは必ず自分の中にあるのに。
その答えが見つけ出せない。
それは数学の問題を解くよりも難しいことなんだ。
恋に教科書はないから。
恋は全て手探りだから。
だから…迷ったり、傷ついたりするんだ。
「……きっと、王子も早川爽も本気よ?」
あーちゃんは穏やかな口調で言った。
「だから、穂香も本気になってほしい」
「あーちゃん……」
あたしが顔を上げると、あーちゃんは優しく微笑んでくれた。
「怒鳴ったりしてごめんね?」
「ううん。あたしのほうこそ…ごめん」
あたしがそう言うと、あーちゃんはあたしの両腕を掴んで言い聞かせるように言った。