幼なじみは俺様王子。
白い粉の正体はきっと、お昼に食べた、チョコ大福だ。
「マヌケなヤツ」
楓は横目であたしを見ると、鼻でフッと笑った。
あぁあああああっ!
この間はチョコつけるし、今回は大福の粉だし……
あたしってどこまで冴えない女なのよぉおおおお!
穴があったら入りたい……
「……でも」
雨模様なキモチのあたしをよそに、楓は続ける。
トンッと音がしたかと思ったら、隠すように楓は教科書を立てて微笑んだ。
「そんなところも、可愛いよ」
……なんて甘美な言葉をあたしに囁いて。
「な、なに言って……」
「期待に応えてやるよ」
――グイッ
「…んっ……」
あたしのネクタイを引っ張ったと思ったら、瞬時に唇を奪った。
油断も隙も与えない。
なんてせっかちな王子様……。
……はっ!
目を覚ませ、あたし!
ここは教室。
そして授業中……。
誰かに見つかったりなんてしたらヤバいわけで……
キスなんてしてる場合じゃないんだったっ!