幼なじみは俺様王子。
って心の中では思ってるけど、実際には拒めない自分がいる。
もっともっと、って思っちゃう。
そんなあたしは…おかしいのかな?
教科書で隠してキス……
なんて少女漫画に出てくる夢物語みたい。
「やけに素直じゃん?」
挑発的に発された言葉もあたしの耳には届かない。
甘いキスに翻弄されて、今にも溶けちゃいそう……。
「…んっ……」
あたしの唇を割って入ってくる熱いものに、呼吸が出来なくなって。
押し殺した声も、自然と出てしまう。
時々、ふわっと漂う楓の甘い香りがあたしの鼻を撫でる。
あたしは、やっぱり楓が好き…なんだよね?
自分で自分に問いかける。
でも、あたしの中のあたしは素直に頷いてはくれなかった。
それは一瞬、爽の無邪気な笑顔が浮かんだから……。
あたし、なに考えてるんだろう……
「……頭ん中、俺しか入れんじゃねぇよ」
「…っ……えっ?」
唇が離されたと思ったら、楓が不機嫌そうな顔であたしを見つめた。