幼なじみは俺様王子。




全ての動きがスローモーションのようだった。


黒髪をなびかせながら走っているその姿はやっぱり胸がドキドキして……。


「やっぱり爽様が1位だぁあああ」


「ほんっとに素敵っ!」


「ドキドキしちゃうぅぅ~」


両手を握って、爽に駆け寄る女の子達。


みんな同じ白いシャツを着ているのに、爽だけとってもカッコよく見えてしまう。


そんな時、タオルで汗を拭いている爽と目が合った。


う、ううう、嘘っ……


思わず爽から視線を逸らして、再び机に突っ伏した。


な、なんでこんな時に目が合っちゃうのぉおおお!


ドキドキと高鳴る胸を押さえながら、もう一度ゆっくりと、グランドに目を向ける。


「……穂香ぁ~!」


……ビクッ。


声のした方に視線を辿うと、やっぱりそこには、あたしに大きく手を振る爽がいた。


「穂香って誰よ!?」


「なんで爽様がぁあ!?」


ザワザワと女の子達がざわめきだす。


ひゃあああああ!


な、なにやってんのよぉおおお!


動揺しまくりのあたしとは裏腹に、爽は爽やかな笑顔であたしに手を振り続けている。





< 221 / 267 >

この作品をシェア

pagetop